363,274 件の参照リンクを分析 ― AI はどんなサイトを参照するのか?
ChatGPT・Gemini・Claude・Google AI Overview が日本語の回答で実際に参照した 363,274 件のリンクを 5 か月分集計しました。Yahoo! 知恵袋や X がどれだけ参照されているか、自社サイトが占める割合、AI ごとの傾向の違い、参照先の集中度をまとめています。
AI に質問を投げると、回答の下に参照元のリンクが並びます。このリンク先がどんなサイトなのかを、AIO Lens が蓄積した 5 か月分のデータで分析しました。
Reddit や Wikipedia に参照が集中している、という海外の調査は数多くありますが、日本語の質問で同じ傾向が出るのかは、あまり検証されていません。
AIO Lens は、あらゆる質問を日々 ChatGPT・Gemini・Claude・Google AI Overview に投げ、その回答と参照リンクを記録し続けています。今回、そこに溜まった 363,274 件の参照リンク を分析しました。
調査の前提
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 2026 年 3 月 6 日 〜 8 月 10 日 (約 5 か月) |
| 参照リンク総数 | 363,274 件 |
| ユニーク URL 数 | 71,290 件 |
| ユニークドメイン数 | 19,620 件 |
| 対象 AI | ChatGPT / Gemini / Claude / Google AI Overview |
| 市場 | 日本 (日本語のプロンプト・日本語の回答) |
分類の方針について
参照先の性格を分類するにあたり、ドメイン名でサイトが一意に特定できるもの と、登録に法人格の審査があり用途が限定されている TLD だけを対象にしました。具体的には、YouTube や Yahoo! 知恵袋のような実名で特定できるサービスと、政府機関に限定される .go.jp、高等教育機関に限定される .ac.jp です。
本記事で主要プラットフォームと呼んでいるのは、次の 13 サービスの合計です。
- YouTube
- note
- アメーバ系ブログ
- はてな系
- Wikipedia
- Qiita・Zenn
- Yahoo! 知恵袋
- TikTok
- X
1. Yahoo! 知恵袋や X はどれくらい参照されているのか
海外調査では Reddit が全 AI 横断で最も参照される情報源とされ、Wikipedia は ChatGPT の上位参照の 4 分の 1 以上を占めるという報告があります。日本語ではどうなのか、主要なプラットフォームを個別に数えました。
| プラットフォーム | 件数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| note | 5,486 | 1.51% |
| YouTube | 4,144 | 1.14% |
| アメーバ系ブログ | 869 | 0.24% |
| はてな系 | 689 | 0.19% |
| Wikipedia | 570 | 0.16% |
| Qiita / Zenn | 433 | 0.12% |
| Yahoo! 知恵袋 | 295 | 0.081% |
| 235 | 0.065% | |
| TikTok | 152 | 0.042% |
| 110 | 0.030% | |
| 85 | 0.023% | |
| 81 | 0.022% | |
| X (旧 Twitter) | 27 | 0.0074% |
X は 5 か月で 27 件しかありませんでした。 36 万件のうち 0.0074%、1 万件に 1 件も届きません。ソーシャルでの話題量が AI の回答に直結する、という想定は、少なくとも法人向けの質問では成り立っていません。
Yahoo! 知恵袋も 295 件 (0.081%) と限定的です。質問に対する生活者の生の声という点で AI が好みそうな性質を持っていますが、実際にはほとんど参照されていません。ここは B2B 中心という前提の影響が大きい部分で、消費者向けの商材なら比率は変わる可能性があります。
その中で相対的に健闘しているのが note (1.51%) と YouTube (1.14%) です。この 2 つは他のプラットフォームより一桁多く参照されています。どちらも記事や動画として内容がまとまっており、単発の投稿ではなく読み物として成立しているものが多い、という共通点があります。
Reddit は 235 件 (0.065%) でした。英語圏の調査で最頻出とされる情報源が、日本語ではこの水準です。
さらに中身を見ると、この 235 件は日本語の Reddit コミュニティではないことがわかりました。参照されていたのは英語のスレッドで、235 件のうち 172 件 (73%) は Reddit の日本語翻訳表示 (?tl=ja 付き) の URL です。日本語で質問した結果として英語のスレッドが翻訳表示で出てきている、という状態ですね。日本語圏の Reddit に露出を作るという打ち手は、そもそも参照される母集団が存在していません。
2. 自社サイトが参照される割合は 3.7%
追跡対象ブランドの公式サイトが参照された件数は、363,274 件のうち 13,599 件、全体の 3.7% でした。
この数字は 2 通りの読み方ができます。
ひとつは、自社サイトが 唯一自分でコントロールできる情報源 だという点。19,620 ドメインが参照される中で、自社の 1 ドメインが 3.7% を占めているのは、母数から考えれば決して小さくありません。自社サイトの構造化データを整え、FAQ を追加し、見出しを整理する作業は、この 3.7% を確実に押し上げます。参照元に自社サイトが入っているかどうかは、そのまま追跡すべき指標になります。
もうひとつは、残りが第三者のページだという点です。比較メディアにどう書かれているか、業界のレポートにどう載っているか、ニュースでどう紹介されているか。AI が自社について語るとき、その材料の多くは社外にあります。
つまり自社サイトの改善と社外の記載の是正は、どちらか一方ではなく両方を並行して見る必要があります。自社サイト参照率が伸びているかを追いながら、同時に「自社について語っている社外のページ」がどこなのかを把握しておく、という組み立てです。
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3. AI ごとに、参照先の傾向が違う
同じ日本語の質問に対して、4 つの AI が何を参照したかを並べると、傾向の差がはっきり出ました。前述のとおり、確実に判別できる 3 種類だけを載せています。
| 参照元 | AI Overview | Gemini | Claude | ChatGPT |
|---|---|---|---|---|
| 主要プラットフォーム | 9.8% | 4.0% | 2.0% | 1.0% |
| 官公庁・大学 (.go.jp / .ac.jp) | 1.8% | 1.6% | 2.4% | 10.6% |
| 追跡対象の自社サイト | 3.5% | 3.4% | 2.7% | 6.3% |
| (参照リンク総数) | 31,267 | 201,851 | 70,340 | 59,816 |
両端に注目してください。
Google AI Overview は主要プラットフォームを 9.8% 参照するのに対し、ChatGPT は 1.0%。約 10 倍の開きがあります。 AI Overview は Google 検索の結果をそのまま素材にしているため、SEO で上位に来ている YouTube 動画やブログ記事がそのまま回答に入ってきます。
逆に ChatGPT は官公庁・大学を 10.6% 参照し、Gemini の 1.6% に対して約 6.5 倍。ChatGPT は一次情報・公的機関の資料を強く好む傾向がはっきり出ています。自社サイトの参照率も ChatGPT が 6.3% で最も高く、出どころのはっきりしたサイトを選ぶ性格が一貫しています。
同じ会社について尋ねても、ChatGPT は省庁の統計や公式サイトを根拠に語り、AI Overview は誰かの YouTube 動画を根拠に語る。AI 対策をひとまとめに語れない理由がここにあります。
4. 参照は少数のサイトに集中していない
海外調査では「上位 15 ドメインが参照シェアの 68% を占める」といった強い集中が報告されています。日本語ではどうか、集中度を測りました。この分析はサイトの分類を必要とせず、単純な出現回数だけで出せます。
| 範囲 | 参照シェア |
|---|---|
| 上位 10 ドメイン | 8.9% |
| 上位 50 ドメイン | 20.6% |
| 上位 100 ドメイン | 27.7% |
| 上位 500 ドメイン | 52.4% |
参照の半分を占めるのに 500 ドメイン必要でした。全 19,620 ドメインのうち 7,640 ドメイン (38.9%) は 5 か月でたった 1 回しか参照されていません。
ここまで見てきた 3 種類 (主要プラットフォーム 3.6%、官公庁・大学 3.3%、自社サイト 3.7%) を足しても全体の約 1 割です。残る約 9 割は、大手プラットフォームでも公的機関でも自社でもない、無数の一般サイト が占めています。
日本語の AI 回答は、少数の巨大メディアが独占しているのではなく、数多くの中小サイトが薄く広く参照されている状態です。ここさえ押さえれば全部解決する、という単一の近道は存在しません。一方で、大手メディアに大きな枠を買わなくても参照に入り込む余地は十分にあります。
この結果から言えること
1. 自社サイトと社外の記載を、両方の指標として持つ
自社サイトが参照される割合 (今回の全体平均で 3.7%) は、自分で動かせる唯一の数字なので、まず継続して追う価値があります。それと並べて、自社について語っている社外ページがどこなのかも把握しておきます。
2. 自社カテゴリで繰り返し参照されるサイトを特定する
参照先の約 9 割は、名前を挙げられるような大手プラットフォームではありません。どのサイトが効くかは業種ごとにまったく違うので、一般論では特定できません。AIO Lens をご利用いただく場合、手順としてはこうなります。
参照リンクページで、頻出サイトを 10〜20 件ほど洗い出す- そのサイト上で自社が「載っていない」「情報が古い」「事実と違う」のどれに当たるかを確認する
- 載っていないなら掲載の働きかけ、間違っているなら訂正依頼という形で個別に動く
自社サイトの中だけを見ていても、この 10〜20 件は見つかりません。
3. どの AI を重視するかで打ち手が変わる
ChatGPT で存在感を出したいなら、公的機関の統計や資料に自社が載る動きが効きます。AI Overview 対策は、結局のところ Google 検索の上位表示対策に近くなります。
4. X・Yahoo! 知恵袋・Reddit への投資は優先度が低い
法人向けの質問においては、合計しても全体の 0.1% に届きません。英語圏の定説をそのまま輸入しないでください。
注記
- すべての追跡対象プロンプトを横断した集計値です。どのプロンプトで何が起きたかという個別の内訳は扱わず、全プロンプトを合算した数字だけを見ています
- 現在の追跡対象は、法人向け (B2B) の商材・サービスに関する質問が多くを占めます。SNS や口コミサイトの参照率の低さは、この偏りの影響を受けている可能性があります
- 分類は、ドメイン名でサービスが特定できるプラットフォームと、登録用途が限定されている TLD (.go.jp / .ac.jp) のみを対象にしています。
.comや.co.jpは運営主体の性格を表さないため、分類には使っていません - 対象は追跡中のプロンプト群であり、日本語検索全体を代表する標本ではありません。法人向けの商材・サービスに関する質問に偏っています
AIO Lens を使うと、こうした参照リンクの蓄積やトラッキング、自社ブランドがどの AI にどれだけ登場しているか、どのサイト経由で語られているかなどを深く理解することができます。自社の場合はどうなっているのか気になった方は、お気軽にお問い合わせください。